大阪大学 統合デザイン力教育プログラム

FDについての取組み

2006/01/20

平成17年度 第2回FDセミナー


日時: 2006年1月20日(金) 13:00 〜 16:30
場所: M4-201 講義室
講演1 13:00 〜 13:30
講師:藤田喜久雄(大阪大学工学研究科・教授)
題目:機械系における教育カリキュラム
概要:

 応用理工学科機械工学科目・機械工学専攻では、現在、学部教育においては、5つのコア科目と一連の課題学習型科目の導入を特徴とするカリキュラムの導入、大学院では、基盤科目や科目類の制度の導入、産学連携による教育の展開を特徴とするカリキュラムの導入による教育改革が進行中である。それらの内容や特徴を再確認した上で、現在までの取り組みを振りかえり、来年度に実施することになる事項を整理し、後に講演する講師への紹介という形で講述した。


講演2 13:30 〜 14:50
講師:寺崎昌男(立教大学総長室調査役)
題目:FD・SD それは何か、なぜ今求められるのか
        - 大学院教育と学部教育のおのおのの課題 -
概要:

 大学全体として、学部も大学院も従来は「教養のある専門人」の育成を教育目標としてきた。しかし、専門性が強すぎるため、卒業しても設計一つできなかった。1994年前後から、産業界では、専門人ではなく教養人を求める傾向に変化してきた。大学も従来の教育目標では産業界の要求に答えることが難しくなる。そのための対処として、学部では「専門性に立つ教養人」の育成、具体的には決断力やリーダーシップなどの能力アップを目指した授業に改善していくべきである。また、ノートの取り方やレポートの書き方などのベースとなる知識を教えるべきである。大学院では「教養のある専門人」の育成を行うことが求められる。従来の大学院の授業では、先生の話を聞くのみというものがほとんどであるが、これからは学生に質問を出させるような話をして、興味を持たせる授業を行うべきであり、学生主体にして授業を進めていくべきである。そのためには、専門的ではあるが、噛み砕いてわかりやすく人に伝える能力が教員に必要であり、そのような能力を開発していく必要がある。また、カリキュラムも修士・博士の学位取得に則したものとしなければならない。

配布資料:
- 神田俊, "日米学生比較- 創造性をめぐって-," 21 世紀フォーラム, No. 46,(1992-12), pp. 72-77.

講演3 15:00 〜 16:30
講師:鈴木久男(北海道大学理学研究科・助教授)
題目:能動的学習システム
        - 説明能力と企画力の養成のために -
概要:

 日本における教育では、学生の説明能力を養成するための方策が不足していることが一つの問題になっている。実際、自分の行なっている研究についての質問にすら「計算したらこうなりました」といった説明しかできない学生が多く見かけられる。また、大学で学んだことを試験などの机上の計算でしか活かせないことが多いのも事実である。このことは、学生が将来、研究や企業での活動の中で、総合的な企画力を持つための障害になりかねない。しかも、このような能力は、先生の口述している内容を聞くだけといった従来の授業形態では養われることはない。そのため、自分で考え、人を説得する能力を養成するための、新たな授業形態の導入が不可欠となる。本講演では、このような新たな授業形態の一例として、講演者が北海道大学での初等物理教育において試験的に実施している「能動的学習授業- 学生が考え、討論し、参加する授業形態-」を説明した。アメリカの一部の大学では普及しているこの授業形態を日本の授業システムに組み込むための取り組みの中での問題点と、それを克服するための物理教育のトータルパッケージシステムをわかりやすく説明した。また、具体的に能動的学習授業がどのようなものかを示すために、実際に物理の模擬授業(工学部学生向けカスタマイズバージョン)を学生に対して行なった。(写真 )模擬授業実施後に行った参加学生へのアンケートでは、「授業への積極的参加を促す」「自分で考える機会を与える」などの好意的に評価する意見が多かった。