在学生メッセージ(機械工学専攻)


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キャビテーション流れの数値解析
博士後期課程1年 岡林 希依さん

 私は機械工学の中でも特に流体力学を専門にしています.これから私の研究テーマと研究室での生活について紹介したいと思います.
 私の研究テーマはキャビテーション現象の数値解析です.沸騰が温度変化によって液体から気体に変化する現象であるのに対し,キャビテーションは圧力の低下によって気体が発生する現象を指します.

キャビテーションは流体機械の性能低下、騒音、振動、壊食などの悪影響を及ぼすことがあり,いくつかの重大事故の原因であることも知られています.そのため,液体を用いる機器の設計の際には,キャビテーションを考慮しなければならないことが多々あります.しかし,多くの場合,実験での測定が技術・コストの両面で困難であり,数値シミュレーションが有効な解析手段となります.私はそのための新しい数値解析法の開発を目指しています.

 研究している時間のほとんどは,パソコンに向かい,プログラムを書くことに費やされます.プログラムができたら,計算機に投入して計算し,結果はデータ処理の後,グラフ,図または動画にして現象を解析します.図はキャビテーションと渦の相互作用現象を可視化したものです.

 実験も大変だと思いますが,シミュレーションにもそれなりの苦労があります.設定した条件が合わなかったり,プログラムが正しくなかったりすると,計算が止まってしまいます.以前には2ヶ月間計算が動かなかったこともあり,本当につらかったのですが,興味深い結果が得られたときの感動は,他ではなかなか味わうことのできないものです.未知のことを研究しているわけですから,日々試行錯誤の連続ですが,それが研究の醍醐味とも言えると思っています.

 阪大には,大規模な計算に対応できる大型計算機があり,計算機資源は豊富です.研究環境としてはかなりのレベルにあります.また,学生であっても,国内外で開催される学会で発表する機会が与えられる他,学術論文を発表することも可能です.私も現在,イタリアとイギリスの国際会議での発表(もちろん英語です)を控えており,忙しい毎日ですが,それだけやりがいのある研究生活を送っています.

 このように,阪大の機械工学専攻は,やる気さえあれば,いくらでも貴重な経験や知識を得ることができる環境だと思います.

 

研究風景

キャビテーションと渦