機械工学専攻長メッセージ


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久保司郎教授(機械工学専攻)

 機械工学は,ジェームスワットの蒸気機関から最近のガスタービン,ロボットに代表されるように,産業革命以来,その時代時代の人類社会の要請に応え,問題を解決し,人類社会の発展に大きく貢献してきました.しかし最近では,地球温暖化をはじめとする地球環境問題,エネルギーの枯渇と有効利用にからむエネルギー問題,人と社会の安全・安心を確保する問題,少子高齢化社会により促進される医療・福祉の問題が,相互に絡み合いながら,大きな問題として浮上してきています.これらの問題の解決は,急務となっています.一方で,資源をもたない日本が,世界の中で発展し,その地位を高めていくには,新技術の開発にささえられた“ものづくり”をさらに推し進めていくことが必要です.私たちの生活様式を変革し,生活をより豊かにするような革新的な設計,製品開発も大きな課題としてあげられています.

 これらの現実にある重要課題を正面から解決するには,科学技術の役割は欠かせません.特に機械工学は,その中核的技術として,これまで重要な役割を演じてきており,今後もその大きな貢献をすることが期待されています.

 大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻は,上記の社会的重要課題の解決を視野に,力学を中核にすえ,周辺の科学と技術を取り込みながら,基礎から応用にまたがる領域の研究を推進してきました.すなわち,固体力学,流体力学,熱力学といった基礎的力学分野に,制御・情報の理論,設計・生産・システムなどの技術を含めた教育と研究を行っています.

 機械工学専攻では,複合メカニクス部門,マイクロ機械科学部門,知能機械学部門,統合デザイン工学部門からなる4つの部門の有機的連携に基礎を置いています.機械工学の基礎となる,固体力学,流体力学,熱力学を進化させ,それらの複合した,いわゆる連成問題としての現象解明を進めています.エネルギーに深く関与する燃焼や流動現象を,ナノ,マイクロの領域で把握するとともに,微小な要素の特性・機能に出現に関する研究を行っています.また,機械の高度化,知能化に関する研究,さらには,設計や生産を統合化し,より価値の高い製品を生み出すとともに,地球規模のような高い視点からの設計に関する研究を進めています.

 これらの成果は,地球温暖化防止・エネルギー有効利用問題につながる各種プラントの高効率化と機器の安全性確保,次世代の航空宇宙技術,少子高齢化・医療・福祉に貢献する各種ロボット,マイクロマシン,新製品デザイン,ライフサイクル設計等にもつながっています.